針供養って
京都法輪寺_針供養_こんにゃく版より
3つの事柄
事柄1
使えなくなった針や折れた針を1年分まとめて、2月8日もしくは12月8日に針を供養してする日。
事柄2
この針供養の習慣は江戸時代に女性の守護神淡島明神に、裁縫が上手になる事を、お祈りする祭りとして広がりました。
事柄3
和歌山市加太の淡島神社・京都嵐山の法輪寺の針供養は、古くなった針や折れた針を豆腐やこんにゃくにさして、針仕事を休み楽しく飲食をしながら針を供養する日です。
英語で言うと
昔に比べると”裁縫をする”こと自体が減っているものの、針仕事をしている方や服飾関係・和裁、洋裁関係の教育機関、企業では今でも針供養が重要視されているようです。ちなみに、英語圏には針供養の風習はありませんが、英語だと「Requiem services for broken needles」などと表現されるらしいです。
貴婦人裁縫之図_Tokyo Museum Collectionより
供養の日が2回ある?
2月8日と12月8日は「事八日(ことようか)」とされ、それぞれ2月8日は「事始め」、12月8日は「事納め」と呼ばれる。この両日は”つつしみをもって過ごす日”とされています。
一般的には毎年2月8日、関東を中心に全国の神社で行われていますが、関西では12月8日を針供養の日としている地域もみられます。地域によって違いがみられるのは、針供養が「事八日(ことようか)」という行事に関連していることにあります。「事八日」は、正月を挟んで対となる12月8日と2月8日の総称で、八日節句(ようかぜっく)や八日待(ようかまち)とも呼ばれます。
関西では事八日の行事を12月8日に集中して行うことが多く、一方、関東では12月と2月に同じ行事を行う地域があります。この差が、針供養行事の日程の差になっているのです。いずれにせよ、事八日は、冬至や立春など季節の変わり目を示す二十四節気とは異なる歳時の折り目として意識され、家庭内外でさまざまな神事や祭事が行われてきました。
そして事八日は、物忌み(さまざまな日常行為を控える行為)の日と考えられ、この日は妖怪が家にやって来るという言い伝えもあり、皆で仕事を休む風習が各地で行われていました。家庭でも針仕事を休んで、針に感謝する日となったわけです。
一般的に、針供養は基本的に家庭の行事として伝えられていますが、いつの頃からか事八日の物忌を離れ、近隣の婦人が寄り集まつたり、近隣の娘に裁縫を教える師範格の婦人のもとにみんなで集まって行われることもあったようで、裁縫技術の上達を願う行事として広がっていきました。近代に入っても、和裁・洋裁学校において針供養が必ず行われており、現在でも裁縫技術の上達を願う行事として全国で行われています。
※妖怪のお話は、また日を改めて、珈琲ブレイクです。(ちなみに一つ目妖怪の話)
『大時代唐土化物3巻』より一つ目小僧
針供養の起源
「針供養」の起源は不明ではあるものの、中国の「社日(土地神の祭日)に針線(針仕事)を止む」という古い慣わしが、日本に伝わったことが由来といわれ、平安時代には、清和天皇によって法輪寺に針供養の堂が建立され、”針を供養する”ことを重要視していたことが伺える。針供養には、「針への感謝や労い」「裁縫の上達を願う」という意味合いは昔も今も願いは同じですね。
その後、江戸時代に淡島明神の功徳を説き歩いた「淡島願人」(あわしまがんにん)の影響により、日本でも針供養の慣習が盛んになったと考えられています。
- 淡島神:婦人病治癒を始めとして安産・子授け、裁縫の上達、人形供養など、女性に関するあらゆることに霊験のある神。
- 淡島願人(がんにん)と称する乞食坊主が、神棚を背負い祭文を唱えながら縁起や功徳を説いて各地をまわり、この信仰を広めた。
落語の中の言葉47(淡島さまと夢)より
柔らかいものに針を刺す
針供養には、寺社に納める以外にも、豆腐やこんにゃくのような「柔らかいものに刺す」方法もあります。裁縫用の針は、厚みのあるものや硬いものに使われることも多いため、柔らかいものに刺すことで針をねぎらう意味合いがあります。
東洋きもの専門学校は2月8日に大阪の太平寺にて針供養を行います。
また、その様子はご報告いたしますので、お楽しみに!